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記事: フィットネス改体新書 -chapter.2-

栄養・知識

フィットネス改体新書 -chapter.2-

すべてのトレーニーが理想のカラダに近づくための“人体の真理”を探求する『フィットネス改体新書』。第2回はトレーニー必携のサプリメントである「プロテイン」をテーマに、
筋肉合成の仕組みから必要な栄養素とその摂り方、さらには栄養状態の自己分析方法を通じて、毎日のプロテインを1gたりともムダなく筋肉に変える活用法をご紹介します。

筋肉=タンパク質×酵素×ビタミン・ミネラル

トレーニーのみなさんは日々、効率よく筋肉を増やしてカラダを大きくしようと努力されてますよね。その際「筋肉」と言えばまずプロテイン─栄養素としての「タンパク質」を思い浮かべると思いますが、これを建築に例えると、筋肉がでタンパク質はその材料である木材に相当します。それでは、その木材を使って家を建てるために必要なのは何でしょうか? そうです、大工ですよね。この大工さんに当たるのが「酵素」というもので、さらに言うと、大工さんに働いてもらうためには「ビタミン・ミネラル」という名の給料が必要になります。みなさんまずはこの【筋肉=タンパク質×酵素×ビタミン・ミネラル】という公式を覚えておいてください。


「プロテインよりまず食事」これだけの理由

次にタンパク質の摂り方ですが、例えば1日あたり140gという目標に対して、手っ取り早くプロテインパウダー(以下プロテイン)の量で調整するのではなく、まず食事から摂ることを最優先に考えることが大切です。その一番の理由が『サイトカイン』と呼ばれる生理活性物質。サイトカインとは細胞の成長や再生を促す細胞増殖因子で、これはプロテインでは摂取できないため、必ず肉や魚などの活きた食事から摂る必要があるのです。逆にこのサイトカインがなければタンパク質を作るスイッチが入らず、筋肉の合成も起こりません。

筋肉の公式はすべて掛け算ですから、サイトカインがゼロならば、計算の値もゼロになるのは言うまでもありません。あくまでも正しい食事を前提に、その補助として摂ることがプロテインをムダにしない鉄則ですが、その上で、プロテインを効率的に筋肉に変えるために、もうひとつ大切な要素が「ビタミン・ミネラル」でした。特にタンパク質の合成・代謝に関わるビタミンである『ビタミンB6』と、細胞の増殖(筋肉の増殖やテストステロンの分泌)、タンパク質の合成に関わるミネラルの『亜鉛』が重要ですが、これらも体内で活性化させるには単体のサプリメントではダメで、ビタミンB6ならビタミンB全体(コンプレックス)で摂らないと意味がありません。さらに言うと、精製されたサプリメントだけよりも、肉や野菜などの食事かあ取ることが大事なんですね。


タンパク質を摂取する一方で、みなさんが見落としがちなのが消化です。どんな栄養素でもそうですが、摂った分はきちんと消化しないと摂り過ぎでムダになってしまいます。となると当然、消化の過程では「胃酸」などのタンパク質を分解する消化液が必要になりますので、それらの分泌を高めるために食事をよく咀嚼して食べるとか、お酢や発酵食品など酸味のある物と一緒に摂るなど、そういった栄養素もサプリメントでというよりはまず食事、それもできればホールフード(加工や精製をなるべく抑えた植物性食品のことで、全粒穀物、芋、豆果、果実、野菜など)で摂ることが大事、という話に戻ってくるんですね。

あなたは日々のプロテインを活かせてますか?分子栄養学的「栄養自己分析法」大公開!

筋肉を増やすためにサピ裏面とを極めようと思うと結局、栄養の基本になる食事から正しましょうという話になるのですが、どんな方法で栄養を摂るにせよ、やみくもに量を追求しても効率的な結果を得ることはできません。その意味でまず大切なのは自分の栄養状態を知ることであり、そのとき有効な指標になるのが『血液検査結果報告書』(上画像参照)です。

これは会社勤めの方であれば、毎年の健康診断の結果として受け取っている見慣れた情報だと思いますが、実際には「何を」「どのように」見ればいいのかわからず、持て余している方が多いのではないでしょうか。そこで今回は、とりわけトレーニーが筋肉を増やすために知っておくべき、血液検査結果報告書を使った栄養状態の自己分析ポイントをお伝えしたいと思います。

まず注目してもらいたいのは「AST(GOT)」と「ALT(GPT)」という2つの項目。いずれもアミノ酸をエネルギーに作り変えるときに働く酵素ですが、これらの理想的な数値は20から25ぐらいで、しかも2つが同じ値に揃っていることがポイントです。なぜかと言うと、AST、ALTというのは活性するときにビタミンB6を必要とするのですが、特にASTの方が需要が高い(より多くのビタミンB6を必要とする)んですね。その2つの値に乖離があるということは例ではAST:22に対してALT:18ですから、ALTがかなり低く、ASTに“持っていかれている”状態であることがわかり、体内の栄養素としてビタミンB6が足りていないことが推測できるわけです。

ちなみに数値の乖離の目安は「2未満」か「2以上」かで、AST:22の場合はALT:20でギリギリ正常値、19以下だとビタミンB6が不足している状態を示しています。

またAST、ALTと併せてチェックしたい項目が「ALP」。アルカリフォスファターゼという酵素の一種で、亜鉛やマグネシウムといったミネラル─特に「亜鉛」を必要とするのですが、この数値が200程度あると体内の亜鉛量が足りていると考えられます。その点、P.26の例ではALP:174ですから酵素の活性が低い、つまりは亜鉛不足が推測でき、仮に食事やプロテインで十分なタンパク質を摂取できていたとしても、ビタミン・ミネラルの不足によりそれらを筋肉に変える効率や、テストステロンの代謝が決して良くないことが見えてくるのです。

もうひとつ、日々のトレーニングでより効率的に筋肉を大きくするためのポイントとして、ぜひ知っておいていただきたいのが「クレアチニン(CRE)」です。

クレアチニンは筋肉量が多いと高くなるので、トレーニングしている男性で1.0前後、女性で0.6前後が目安になります。似た名前でよくサプリメントにもなっている「クレアチン」をご存じかと思いますが、クレアチニンはこのクレアチンが使われて排泄されたものだと考えてください。つまりクレアチニンの数値の高い・低いは、元になっているクレアチンの多い・少ないを意味しており、P.26の例のようにクレアチニンが基準値の低値を示す人は、端的に「筋肉が作られにくい」と言えるのです。

というのも、クレアチンというのは筋肉のエネルギー源になっていて、実際トレーニーがクレアチンを摂ることによって、トレーニングのパフォーマンスが向上することがわかっています。逆に言うと、クレアチンが不足している人は筋肉が大きなパワーを発揮できず、例えばベンチプレスのような種目でも高重量を上げられません。となると筋肉に大きな負荷をかけることができないため、筋肥大を促す筋肉の損傷にも至らない─したがって「筋肉が作られにくい」というわけなのです。

ここまでの話をおさらいしながら整理すると、筋肉を大きくするためにはプロテイン(タンパク質)だけを摂っていてもダメで、生理活性物質である酵素(サイトカイン)と、それを働かせるビタミン・ミネラルを全体的に摂取できる食事(ホールフード)が重要でした。一方で仮にこれらの栄養素を十分に摂れていたとしても、筋肉を使うためのエネルギーが少ないと上手く使い切ることができず、せっかくの栄養をムダにしてしまうことになるので、クレアチニンの数値が低いと判断された場合には、サプリメントを利用してクレアチンを摂ることが効果的であると言えるでしょう。このように大つかみでも自分の栄養状態を把握し、日々の栄養の摂り方を少しずつ改善するために分子栄養学を取り入れて、みなさんが筋肉作りの効率を高めることにつながれば何よりです。

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